秘密の多い後輩くんに愛されています
「白鳥先輩が田島先輩と付き合っていたのは社内でも有名だったんで、告白する気はありませんでした。だけど、昨日、白鳥先輩と田島先輩が少し前に別れていたことを知って、もう見ているだけはやめようと思ったんです」
私と克樹が別れたのは三か月前のことだ。
自ら話すことでもないと思っていた私は、克樹との関係を聞かれた相手にしか別れたことを伝えていなかった。
それも最初に話したのは一週間ほど前。
「昨日ってもしかして給湯室で?」
そういえば清水さんが克樹を私の元カレだと話していた。
「そうです」
「あ、あの時はありがとう。お礼を言いたかったんだけど、どう切り出していいのかわからなくて。その……盗み聞きだったし」
「お礼は別にいらないです。俺は思ったことを口にしたまでなので」
「……でも、私の心は救われたからやっぱりありがとうだよ」
「俺、白鳥先輩のそういうところも好きです。先輩、俺と付き合ってもらえませんか」
ソファに座っていた私を床に座る上田くんが見上げてくる。
初めて間近で見たレンズ越しの瞳は、私をまっすぐに見つめていた。
「あの……」
私が口を開いたと同時に鞄の中からスマホのピコンという着信音が鳴る。
「どうぞ」
そう言われてスマホを手に取った。
画面に表示された《暇? 今から飲まない?》というメッセージを見た私は、すぐに電源ボタンを押して画面を閉じる。