秘密の多い後輩くんに愛されています

「大したことないやつだった」

スマホを横に置いて、会話を戻そうとした時、さっきとは異なる音がスマホから鳴り響いた。

画面には大きく“田島克樹”と表示されている。

メッセージのあとにすぐ電話をかけてくる。克樹がよくやるパターンを忘れていた。

「……田島先輩とは別れたんですよね」

「う、うん」

「まだ好きなんですか」

「ううん。別れたのは三か月も前だし、別れ話はもっと前からしてたからもう未練はないよ」

どうしてこんな言い訳口調で話しているのだろうか。

……よく、わからないけれど彼にだけは誤解されたくないと思った。

着信音の鳴り止まないスマホに伸ばしかけた手を上田くんに掴まれる。

「じゃあ、出ないでください」

私を見つめる彼の瞳が熱を帯びていた。

徐々に鼓動が速くなり、呼吸をするので精一杯だった私は、ただ黙って頷くことしかできなかった。

着信音が鳴り止んだあともう一通、克樹からメッセージが届く。

《また今度連絡するわ。飲み行こーぜ》

「どうして出なかったんですか」

「どうしてって、上田くんが出ないでって言ったから」

「本当にそれだけですか?」

「……今は上田くんとの時間を優先するべきだと思ったから」

「それって白鳥先輩も少しは俺のこと意識してくれてるって思ってもいいんですか?」

この雰囲気に身を任せたらどうなるかわからないほど子供ではないけれど、素直に身を任せられるほど大人でもない私。

ただ、ずっと胸が高鳴っているのは事実だ。

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