秘密の多い後輩くんに愛されています
「暁斗! サイン会は大盛況だったようだな。できることなら父さんも参加したかったよ」
父……さん?
社長は今、暁斗に向かって父さんと口にした。
な、何かの聞き間違いだよね?
「う、上田くんと社長のご関係って……?」
「俺の父です。サイン本用の書籍は父が自分の書庫から持ってきてくれました」
暁斗が社長を自分の父親だと紹介した途端、ゆきのフーズにいた社員から驚きの声があがる。
「上田くんって御曹司だったの……」
「えっ、でも作家の暁先生でもあるんだよね?」
「御曹司でもあり、人気作家でもあるってこと? 情報量が多すぎてついていけない」
暁斗のふたつの秘密を知った社員たちは今にも卒倒してしまいそうだ。
私も暁斗のお父さんが社長だったことには驚いている。
だけど、暁斗が暁先生だったことに比べると大したことのない秘密に思えた。
「上田が御曹司……。なんでもっと早く気づかなかったの」
清水さんは暁斗が社長の息子だと知り、どこか残念そうだ。
「あーあ、そのうちよりを戻すチャンスがあるかと思ったけど無理そうだな」
克樹は本気なのか冗談なのかよくわからない口調で、私にそう言った。