スパダリ御曹司は政略妻とベビーに一途愛を証明する

 頬をなでる温かな感触に、つい頬ずりする。

 昔亡くなった母とも、優しい父とも少し違う。穏やかなぬくもり。
 そのうち、体まで包み込むように温かくなる。

 気づけば朔也さんに抱きしめられていて、心底驚いた。

 でも、ありえない状況だからこそ、これは夢だろうとすぐにわかった。
 だって、私たちが抱き合ったのは、結婚した日のあの一回だけ。

 ふたり目を考えないといけないという段まで、きっとこういうことはない。
 それがあたり前とはわかっているけど、その事実になんだか少しだけ心が痛む。

 ――だから、こんな夢を見ているのだろうか……。
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