スパダリ御曹司は政略妻とベビーに一途愛を証明する
せめて、お断りされるとしても有栖リゾートの悪い印象は与えないようにしなきゃ。
そんな思いを胸に、こわばった笑顔のまま挨拶をして腰を下ろす。
会話はすぐに始まった。
両家の挨拶。そして簡単な紹介。想像していたよりずっと穏やかな空気だ。
ただ、当の朔也さんは、先ほどから挨拶や相づち以外はひと言も発していない。
ときどき視線がこちらを向いている気はするが、なんだか恐れ多くて、目を合わせられなかった。
ひと通り話が進んだところで、ふいに朔也さんが口を開く。
「あの……七海さんと、ふたりでお話ししてもよろしいですか?」
「もちろんよ」
「どうぞ気兼ねなく」
両家の親たちが笑顔で言ってくれる。
そのとき、朔也さんと視線が絡んだ。
一気に緊張感の高まった私の不安をほぐすように、彼は目をやわらかに細める。
「では、行きましょう」
「は、はい……」
なんとかうなずいて、私たちは庭へと出た。