スパダリ御曹司は政略妻とベビーに一途愛を証明する
静けさが戻った庭で、私は朔也さんを見上げ、ぽつりとつぶやいた。
「……子ども、お好きなんですね」
「年の離れた妹がいてね。だから、小さい子には慣れているんだ」
「そうだったんですね。きっと……優しいお兄さんだったんでしょうね」
「いや、最初は全然だよ。どう接していいかもわからなくて、戸惑ってばかりだった」
そう言って笑う朔也さんの表情を見ていたら、ふいに未来の光景が浮かんだ。
朔也さんが、我が子を抱き上げて笑っている姿。そのそばにいる私……。
この人となら、きっと大丈夫だ。
直感が告げて、気づけば声が出ていた。
「あの――」
しかし私の言葉よりも早く、彼が声をあげる。
「七海さん。よろしければ、結婚を前提にお付き合いしていただけませんか?」
「……私も、そう言おうと思ってました。本当に私でいいんですか?」
「もちろんです」
彼の低い落ち着いた声を聞いて、ふわっと心が浮き立つような感覚がした。
うれしい……。
私はすぐに頭を下げた。
「よろしくお願いします」
今まで恋らしい恋もせず育って、誰とも付き合った経験すらない。
それなのに彼との交際には、なぜか不安はまったくなかった。