スパダリ御曹司は政略妻とベビーに一途愛を証明する

 やっぱり慣れてる……!

 ショックだ。いや、むしろ慣れている方が、初めてのこちらとしては助かるのかもしれない。それでもモヤモヤする気持ちは晴れない。

 さらにその考えを決定づけるように、朔也さんが私の腰にそっと腕を回した。
 引き寄せられる形になって、体が密着する。彼の顔が間近に来る。

「ダメ?」

 なんだか寂しそうな顔に見えて、胸がぎゅっと締めつけられる。

 これもやっぱり慣れている男性独特のテクニックなのだろうか。
 だって、この顔を見たらダメだなんて言えなくなる。

 恥ずかしさを押し殺し、冷静を装って口を開く。

「……ダメなわけないじゃないですか。後継ぎを考えての結婚でもあるんですから。覚悟はできてるって言いましたよね」
「……そうだよな」

 彼が眉尻をまた下げた。

 なんでまたそんな寂しそうな顔をするの?
 その顔を見せられたら、どうにかしなければと思ってしまう。

 彼の頬に手を触れていた。

「本当に大丈夫ですよ? 私が不慣れで申し訳ないですが、朔也さんの好きにしてください」

「そういうことは今、言わない方がいい。我慢がきかなくなる」
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