スパダリ御曹司は政略妻とベビーに一途愛を証明する

 ふいに彼の声が聞こえる。私は慌てて顔を逸らした。

「お、はようございます」
「この部屋もレイトチェックアウトにしているから、少しゆっくりしよう」

「あ、でも、私……シャワー浴びてきます」

 慌ててベッドから抜け出し、そこにあった自分のシャツを軽く羽織る。

「俺も行く」
「えぇっ……」

 思わず私は彼の方を見つめて、ぶんぶんと横に首を振っていた。
 そんな私の様子を見て、朔也さんはクスッと意地悪に笑う。

「そこまで嫌? 俺は七海を洗ってあげたいけど」
「子どもじゃないんだからそれくらい自分でできます!」

 バスルームなんて明るい。本当にそんな場所で体を洗われるなんて、恥ずかしさで死ぬ。
 それだけは阻止しなきゃ!

 そう思って、私は慌てて朔也さんに背を向けてとたとたと走り出した。
 そうしてみると体のだるさが余計に身に染みる。

「わかったから慌てないで。転んだら大変だ」

 彼の声が背中から聞こえる。
 私はそれでも、逃げるようにバスルームに飛び込んだ。
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