スパダリ御曹司は政略妻とベビーに一途愛を証明する

 寝かしつけも終わり、静かなリビングに戻ってきた朔也さんに私は頭を下げた。

「食事もまだだったのに寝かしつけまでしてもらってすみません」
「気にしなくていいよ。それより食事の準備をしてくれてありがとう。七海も疲れていただろう? 先に休んでくれてよかったんだぞ」
「大丈夫です。実は、さっきまではすごく眠かったんですけど、朔太郎が大泣きしたら目が覚めちゃって……」

 私の苦笑に、彼は喉の奥でくくっと笑う。

「そういうときってあるよな。でも、今は朔太郎もぐっすり眠っているし、七海も無理せず、眠くなったらすぐ寝るんだぞ」
「ありがとうございます」

 感謝を込めて伝えたら、彼はまたふわりと微笑んだ。
 まるで『あたり前だよ』と言わんばかりに。

 朔也さんには、本当にかなわないな……。
 頼れる存在であり、深く信頼できる子育てのパートナー。
 それが、葉室朔也さんだった。

 しかし私たちは好き同士で結婚したわけではない。いわゆる政略結婚だ。
 親が決めた相手との結婚については受け入れていたけれど、私は昔から子どもが好きなので、夫と子どもと幸せな家族をつくっていけたらいいなと願っていた。
 すると朔也さんとのお見合いで彼も子どもが好きだとわかり、すぐ前向きに話が進んだというだけだ。

 ちなみに、朔也さんは体が大きいぶんよく食べる。
 その食べ方がとても綺麗で、どんな料理を口にしても絵になる。

 そんな彼が、私の作ったごはんを毎食『おいしい』と笑ってくれる。手を抜いてしまう日だって正直たくさんあるのに、だ。
 そんな彼のおかげなのか、食事のときに『おーし!』と朔太郎が言うようになっていた。

 私は朔也さんの優しい言動を真似しようとする朔太郎を目にするたび、朔也さんと家族になれて本当によかったと思う。
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