完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
「貴方を見た時、あの曽根崎玲の婚約者が来たと思ったの。自意識過剰の嫌な奴に見えて、わざと見た事もないだろう楽譜を弾かせて恥をかかせてやろうと思った⋯⋯でも、凄いね初見で完璧に弾けちゃうんだもん。天才じゃん」
 草井奈美子の言葉に私は胸が苦しくなる。
 私は天才でも何でもない。
 初見の楽譜の演奏をする事など、ある程度の音楽教育を受けていれば誰でもできる。

「奈美子さん、私が自意識過剰の嫌な奴というのは間違ってないから、申し訳なく思う必要なんてないわ⋯⋯」
 私の言葉に即座に横にいたHIROが反応した。

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