完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
(あと1週間、静かにしていれば玲さんとの婚約も円満に破棄できるのに⋯⋯)

 HIROは黒蘭学園にボランティア活動にでも来たのだろうか。
 
 どのような理由であれ、玲さんとの約束を守らない事は死に直結する。

「美湖ちゃん、みんな、バイバイ! 私、玲さんが待っていてくれているから急がなきゃ」

 私は友達が急にできた興奮に胸がいっぱいになったのも束の間、迫りくる恐怖に教室を後にした。

「凛音!」
 後ろから呼び止めてくる男の声は、少し高いHIROのものだ。
 私の未来の不倫相手かもしれない彼を相手にする気はない。
 道ならぬ恋をする程に、今は彼に溺れてもいない。

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