完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
 私は彼を無視して校舎の外付きの扉を勢いよく開けて、非常階段を駆け降りようとした。

 「わっ!」
 今朝早くに降った雨のせいか私は足を滑らせて階段を転げ落ちそうになる。
 非常階段の重い扉が大きく閉まる音がした。
 それと共に私は熱いくらいの温もりに包まれた。

「凛音は本当に危なっかしいな。昨日、会ったばかりなのに会いたくて仕方がなかった」
「私、もうHIROとは会わないって言ったよね!」
 後ろから強く抱きしめられたせいか、危機に瀕していたからか心臓の鼓動が早くなる。
 それと共に門の所にいる玲さんからは、角度的に私たちの姿が見えていると言う事実に気が付く。

「あの、離して1」
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