完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
 玲さんが焦ったように告げてくる言葉に私は動揺した。
 まだ、駆け出しのHIROにとってスキャンダルは御法度だ。

「大丈夫だよ、凛音。僕が揉み消してあげるから」
「玲さんにそんな事させられないよ」
「僕の凛音のことだもの。僕が処理するのは当たり前」
 私は彼との婚約を破棄する予定なのに、そんな事を言われて言いようもない罪悪感に苛まれた。

「僕に少しでも悪いと思おうなら、凛音からキスして」
 玲さんが熱っぽい目で私を見つめて来ながら、自分の唇を人差し指で差す。

「えっ、でも、玲さんみたいに上手にはできないよ」
「僕のキスは上手? 小柳真紘より?」
「まぁ、比べられないくらい上手かな⋯⋯」
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