完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
 私がハンドルを少し右に舵を切ると、船が思ったよりも傾いた。
 私は予想外の動きに身震いする。

「うわっ、クルーザーの操縦って意外と難しい。思ったよりも動くんだね。もう、いいや」
 怖くなって立ちあがろうとしたら、不意に玲さんに後ろから抱きしめられた。
 ここまでの身体接触を彼にされたことがなくて変な感じだ。 
 金木犀のような上品な香りに包まれて、頭がぼーっとしてくる。

「ふふっ、意外と怖がりだよね。凛音は」
 耳元で玲さんが囁いてくる。なんだか弱さを指摘されたようで小っ恥ずかしい。

 私は彼に横抱きにされ船頭の方に連れてかれる。
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