完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
「30分も、こんな何にもないところで待つの? 打ち上げ花火くらい玲さんが自前で用意してよ。気が利かないなぁ」

 私は思わず悪態をついてしまい焦った。
 彼と上手くやろうと思ったら、悪態をつく癖も直した方が良いだろう。

 玲さんが怒ってないか恐る恐る顔を覗くと、私を安心させるように彼が微笑んで安堵した。

「ここには何もない? そんな事はないよ。ここには僕と凛音がいて、銀の月だけが僕らを見ているんだ」

 玲さんが突然ロマンチックな事を言ってくるので、私は照れ臭くなってしまって話題を変えようと思った。

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