完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
(『柏原凛音⋯⋯お前は本当に人として終わってるな。顔だけは好みだったから躾るだけだと思ったのに⋯⋯』)

 最初に時を戻る前に玲さんに言われた言葉が頭を離れない。
 玲さんはわざと顔だけ好みの中学生に婚約を申し込んだのかもしれない。
 まだ、中学生の私なら自分好みに躾られると考えたに違いない。

(確か『源氏物語』の光源氏も幼い紫の上を自分好みに育てて手を出したよね⋯⋯)
 一度浮かんだ疑念と共に、最初に時を戻る前の行動を思い出す。私は確かに玲さんから受け取ったスポーツドリンクを飲んで意識が遠のいた。あのペッドボトルの中に毒が入っていたとしたら、私は二度も玲さんに殺されている。

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