敏腕自衛官パイロットの揺るがぬ愛が強すぎる~偽装婚約したはずが、最愛妻になりました~
 地上に戻ったブルーインパルスからライダーたちが降り立つ。あまりにも素晴らしいショーを見た彩羽は、魂が抜けたように呆けていた。


 「ちょっと彩羽、大丈夫?」
 「……あ、うん」


 ゆかりの声で我に返る。


 「すごかったでしょう」


 ゆかりがまるで自分の手柄のように胸を張る。


 「うん、胸のドキドキが止まらない。すごくカッコよかった」


 高校生のときにも見たはずなのに、新鮮に感動していた。


 「アハハ! 彩羽もようやくブルーインパルスの魅力に気づいたかー。私に言わせると、今さら感が半端ないけどね。それはさておき、行こう」
 「行こうってどこへ」
 「ファンサービスに決まってるでしょ。パイロットの写真を撮るなら、もっと近づかなきゃ」


 ゆかりが彩羽の手を引っ張り、人混みを器用に縫っていく。

 (そういえば、高校生のときも飛行のあとにあったよね)

 観客たちがパイロットと交流できる貴重な機会だ。
 当時の彩羽は遠くから見守っているだけだったが、今日は仕事のためそうはいかない。なにより素晴らしいショーを演じた彼らを、ファインダー越しではなく間近で見たかった。
 とはいえ今日は仕事も兼ねている。列の最後尾に並んだゆかりにひと言断って離れ、彩羽はファンたちと交流するパイロットを撮影しはじめた。
 彼らは搭乗前に着けていたサングラスを外し、にこやかにファンと交流している。
 一列に並んだ彼らを端から順番に撮っていた彩羽は、三人目にズームした瞬間、心臓が止まる想いがした。
 透矢だったのだ。パーティーで偽のカップルになった、あの透矢がパイロットとして彩羽の視線の先にいた。

 (ブルーインパルスのパイロットだったの……!?)

 航空自衛官、それもエリートと名高い精鋭部隊にいたとは。
 思わずファインダーから目を離して彼を見ていると、ゆかりが振り返った。


 「彩羽! 順番になっちゃうから来て来て!」


 手招きをしながら大きな声で彩羽を呼ぶ。
 それに釣られたのか、はたまた『彩羽』と呼んだゆかりの声に反応したのか。宙を泳ぐ透矢の目線が、彩羽とぶつかった。
 ちょうど彼を射すように注いだ太陽の眩い光を手で遮り、透矢が目を瞠る。その口が〝あ〟と小さく開いた。
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