転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
しかしあの子は「ここにいろ」と、圧をかける。
互いに一歩も引かない攻防戦を繰り広げた結果、私は仕方なくここで寝泊まりすると決めた。
「住む場所と、飲み水は手に入りそうだけれど……。お金と、食事は? どうするつもりなの?」
「ユニコ!」
ユニコーンは「任せろ」と言わんばかりに嬉しそうな鳴き声を上げると、勢いよく四肢を動かして外に駆け出した。
人間の足では追いつけないほどの早さで、私は仕方なく留守番を余儀なくされる。
他人の家を勝手に物色するのは、良心が痛むけれど――。
勇気を出して探索を試みると、アトリエが併設されていることに気づく。
そこには画布に描かれた油絵が複数飾られており、室内には油の匂いが充満していた。
「懐かしいな……」
学生時代に入り浸っていた美術室を思い出し、思わず感傷に耽る。
前世の私にとってこの香りは、とても馴染み深いものだったからだ。
――絵を描いている時だけは、どんなにつらくて苦しいことも忘れられた。
前世と同じように生きる必要はないと、この世界では絵から遠ざかっていた。
しかし――こうして匂いを嗅いでしまったら、駄目だった。
互いに一歩も引かない攻防戦を繰り広げた結果、私は仕方なくここで寝泊まりすると決めた。
「住む場所と、飲み水は手に入りそうだけれど……。お金と、食事は? どうするつもりなの?」
「ユニコ!」
ユニコーンは「任せろ」と言わんばかりに嬉しそうな鳴き声を上げると、勢いよく四肢を動かして外に駆け出した。
人間の足では追いつけないほどの早さで、私は仕方なく留守番を余儀なくされる。
他人の家を勝手に物色するのは、良心が痛むけれど――。
勇気を出して探索を試みると、アトリエが併設されていることに気づく。
そこには画布に描かれた油絵が複数飾られており、室内には油の匂いが充満していた。
「懐かしいな……」
学生時代に入り浸っていた美術室を思い出し、思わず感傷に耽る。
前世の私にとってこの香りは、とても馴染み深いものだったからだ。
――絵を描いている時だけは、どんなにつらくて苦しいことも忘れられた。
前世と同じように生きる必要はないと、この世界では絵から遠ざかっていた。
しかし――こうして匂いを嗅いでしまったら、駄目だった。