転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 ――考えなくちゃ。
 どうにかして、お金を稼ぐ方法。
 最初は、少しだけでいい。
 元手さえあれば、あとはどうとでもなる――。

「ニコーン!」

 ユニコーンは特徴的な鳴き声を上げると、勢いよく急ブレーキを踏んで立ち止まった。
 目の前にはいつの間にか、森の中に覆い隠されるようにして建てられた木製の一軒家と、小さな泉が広がっている。

「ここが、目的地……?」
「コーン!」

 ユニコーンは「そうだ」と力強い鳴き声を上げると、私を背中から下ろす。
 その後四肢を動かして、当然のように一軒家の中へ入ってしまった。

「駄目よ、ユニコーン……!」

 いくら施錠がされていなくとも、家主の許可なく室内に入るのは不法侵入でしかない。
 私は中へ入室するつもりはなかったのだが――。

「コーン!」
「ま、待って……!」

 玄関ドアの前から動かない私の姿を見かねたユニコーンは再びこちらの首元を器用に口で掴むと、無理やり室内へ運び込んだ。

「ユニコ!」

 リビングらしき場所で開放された私が床に転がれば、あの子は満足そうな鳴き声を上げて私に身を寄せた
る。
 甘えたように身体に纏わりつく一角獣の頭部を優しく撫でつけながら、何度か外に出ようと試みた。
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