転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 描きたい。今すぐに。
 どんなものでもいいから。
 先の見えない未来に対する不安。
 言葉にできないことさえも――絵であれば、いつだって表現できる。

「ユニコ?」

 真っ白な画布と筆をじっと見つめていたせいで、あの子が鳴き声を上げるまでユニコーンが戻って来たことに気づけなかった。

「お帰りなさい」

 一角獣が首から下げていた手籠の中には、ぶどう、ザクロ、パイナップルといった果物から、よもぎや菜の花と言った食べられる雑草が所狭しとギュウギュウに押し込められている。

「ありがとう。ユニコーン」
「ユニッ!」

 それを目にした私は、あの子の頭部を優しく撫でつけながら閃いた。
 絵の具の代わりとなるものを使って絵を描いてそれを金銭に変えれば、きっと勝手に使ってしまった画布を弁償できるだけのお金を手に入れられるはずだと。

 私の今すぐ絵を描きたいという欲望も叶えられて、生活費も手に入る。
 まさしく、一石二鳥の名案だわ!

「少し、離れていてね」
「コーン?」
「綺麗な身体が、汚れてしまうわ」
「ユニ……」
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