転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「殿下が本当に、私を好きなのかどうかすら、よくわからないのに……」

 甘い言葉を囁く人間を信じたら、梯子を外された。
 そんな経験を何度もしたら、人を信じられなくなるのは当然だ。

 殿下の前と私の前で態度が180度変化する場合だってあるだろう。
 彼の後押しを無条件に信じて、ディルクさんに自ら歩み寄るべきではない。

「本人が真っ直ぐな気持ちを伝えたところで信じらんねぇほど不信感をいだいてるなら、外野のオレが何を言ったって無駄だよな」

 カルトンは私の態度を見て、このまま何度も助言を続けたところで平行線だと考えたのだろう。
 肩を竦めたあと、こちらに問いかけた。

「あいつは王族として、たくさんの人々から慕われている。不誠実な人間が、下々のもんから信頼されると思うか?」

 そんなの、コメントのしようがなかった。
 私は前世で、地元から愛される議員が不倫をしたり問題行動を起こして大事になるところがテレビで放送されているのを何度か見たことがある。
 外面だけはよくて、中身が最悪なパターンも当然あるだろう。

 嘘さえつかなければ、ディルクさんの内面は寸分の曇もないほどに澄み渡っていると断言できたのに……。
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