転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「わかりません……」

 私がそう言ったっきり、暗い顔で黙り込んだからか。
 カルトンさんは長い間思案した末に、ポツリと呟く。

「せっかく猶予をもらったんだ。シエルはもっと、殿下を知る努力をしたほうがいいのかもしれねぇな…」

 そんなことを言われたって、自分にはそう出来ない理由がある。

「でも……。街に行くのは、もう……」

 妹と鉢合わせてあんな悲しい想いをするのは絶対に嫌だと首を振れば、護衛騎士は笑顔である提案を持ちかけた。

「オレに任せとけ」

 彼が信頼に値するかどうかすらもわからないまま、頼っていいのだろうか?
 カルトンさんはこちらが困惑している間に外出の準備を済ませ、偶然通りかかった侍女に声をかける。

「リルマ。ユニコーンを頼む」
「どちらにいかれるのですか?」
「王城!」

 リルマさんの訝しげな視線を諸共せず、カルトンさんはピースサインをする。

「私はまだ、行くと言ったつもりは……」
「ほら! 善は急げって言うだろ?」

 その後、戸惑う私の手首を掴んで無理やり外へ引っ張り出した。
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