転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「彼と一緒に、仲良く暮らせる? 喧嘩をしたり、傷つけたりしない?」
「ユニコ!」

 ユニコーンは自信満々に「任せて!」と鳴くと、意外にもディルクさんとの結婚を後押しした。
 どこか遠くで旅をしながら、行く先々で絵を描き、永住できそうな土地を探し回るのも悪くないと思ったのだけど……。

「あなたがそういうなら、仕方ないね」
「ユーニィ!」

 現実から目を背けて逃げてばかりいれば、手に入るはずだった幸せは、妹の元まで飛んで行ってしまう。
 せっかく彼が、私に手を差し伸べてくれたのだ。
 このチャンスを逃してはならないと、あの子が後押ししてくれるのなら。

「信じてみよう、かな……」
「ユニコ!」

 ユニコーンは「それがいいよ!」と嬉しそうな鳴き声を上げると、私の裾をクイクイと引っ張った。

「ま、待って……!」

 あの子は強引に私を引き摺ると、アトリエの外へと連れ出す。
 どこに行くつもりなのかと、問いかける暇すらもない。
 扉を開けた先には、面と向かって話をしなければならない人が――ユニコーンと一緒に現れたことに驚いた様子で、こちらを見つめていたから。
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