転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「俺は、君の意思を尊重する」
「で、でも……!」
「周りに何か言われても、白い結婚だと貫き通せばいい」
「え……?」

 聞き馴染みのない単語に、私は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
 白い結婚って、何? そんな言葉、前世でも聞いたことがないけど……。
 ディルクさんは、私とどんな夫婦生活を想定しているのだろう……?

「夫婦の営みは、不要だ」

 私が言葉の意味を考えあぐねていれば、気まずそうに視線を逸したディルクさんは、はっきりと宣言する。
 日本ではあまり馴染みがない話だが、昔は愛のない政略結婚が当たり前だったと聞く。
 ここでも、恋愛結婚は主流ではないのかもしれないが――。
 前世を引き摺る私には、「それなら喜んであなたの妻になります」と、ディルクさんを受け入れる気にはなれなくて……。

「どうして、そこまで……」

 なぜそこまで私に有利な提案をしてくれたのか理解できずに、思わず問いかけてしまった。

「君を、放っておけないからだ」

 すると、彼は考える暇もなく即答した。
 何度目かわからぬ言葉を口にすると、これだけでは足りないとばかりに続けて声を紡ぐ。
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