転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「詳しい原理は、不明だが……。聖なる力の発現条件が、一般的な聖女とは異なるようだ」
「じゃ、あ……。私、は……。無能では、ないのですか……?」
「ああ。だから、そんなに気に病まないでくれ。自ら命を絶とうとする必要などない」
「殿下……」
「これからも、俺の婚約者……。いや。いずれは俺の妻として、そばに居続けてほしい」

 ある日突然何もかもがうまくいくようになり、ないと思っていたはずの力があると言われた。

 それを素直に受け止めきれるはずもなく……。
 私はどうすればいいのかわからなくて、ただただ困惑するしかなかった。

「ユーニィ!」

 私が難しい顔で、黙りこくっていたからだろうか。
 殿下と戯れていたユニコーンが、「よかったね」と私を労るような鳴き声を上げて膝の上に頭を乗せた。

 ディルクさんに、愛してもらえた。
 聖なる力が、私にもあると教えてもらった。

 喜ばしいことのはずなのに……。
 素直に嬉しいと思えないのは、どうしてなのかしら……? 

 自分でいだいた感情を理解できずに首を傾げていれば、彼はこの身に宿る力の正体を説明してくれた。
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