転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「心配するな。自分を責める必要はない。こうなることを見越して、シエルから買い取った絵は全部、王家の保管庫で厳重に管理している」
「ディルクさん、が……?」
「ああ。今までも、これからも。シエルが誰かを傷つけたいと願わぬ限り、完成した絵を見て苦しむ人はいない」
ディルクさんは私が持つ聖なる力にいち早く気づき、こちらの知らないところでさまざまな対策を講じていてくれたようだ。
殿下には、感謝してもしたりない。
「そんな顔をしないでくれ。シエルは絵を描くのが、とても好きだろう?」
「でも……」
「誰かを傷つけるくらいなら、描くのを諦める。それだけは、やめてくれ」
「私はみなさんを、不幸にしてしまうのですよ……?」
「悪いことばかりではない。幸せな気持ちでいっぱいな時に描けば、人々を笑顔にできる力を秘めている。きっと、大丈夫さ」
聖女が持つ聖なる力は通常、一つだけだ。
異なる性質の二つの力が宿るなんて、聞いたことがなかった。
でも――。
私はディルクさんの言葉を、信じてみたい。
苦しくて悲しいことを忘れ、幸せな気持ちで満たされた状態で絵を描き、人々を苦しませる絵を生み出すことしかできない私とは、サヨナラしたい。
そう、心の底から強く願っていた。
「ディルクさん、が……?」
「ああ。今までも、これからも。シエルが誰かを傷つけたいと願わぬ限り、完成した絵を見て苦しむ人はいない」
ディルクさんは私が持つ聖なる力にいち早く気づき、こちらの知らないところでさまざまな対策を講じていてくれたようだ。
殿下には、感謝してもしたりない。
「そんな顔をしないでくれ。シエルは絵を描くのが、とても好きだろう?」
「でも……」
「誰かを傷つけるくらいなら、描くのを諦める。それだけは、やめてくれ」
「私はみなさんを、不幸にしてしまうのですよ……?」
「悪いことばかりではない。幸せな気持ちでいっぱいな時に描けば、人々を笑顔にできる力を秘めている。きっと、大丈夫さ」
聖女が持つ聖なる力は通常、一つだけだ。
異なる性質の二つの力が宿るなんて、聞いたことがなかった。
でも――。
私はディルクさんの言葉を、信じてみたい。
苦しくて悲しいことを忘れ、幸せな気持ちで満たされた状態で絵を描き、人々を苦しませる絵を生み出すことしかできない私とは、サヨナラしたい。
そう、心の底から強く願っていた。