転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 ――やっぱり聖女としてはこんな感情……いだいては、いけなかったよね……。

 私は先程までの考えを恥じ、謝罪した。

「私はみなさんに、迷惑をかけてばかりですね……」
「違う」

 こんな私など、いない方がいい。
 そう続けようとした言葉は、ディルクさんによって遮られた。
 彼はユニコーンを撫でていた手首を掴むと、逃げられないように指先を絡める。
 その手は、氷のように冷たかった。

「俺は、迷惑だなんて思っていない」
「そこは、オレやリルマも含めてくれよ」
「モレラス卿。お2人の邪魔をしないでください」

 ディルクさんは私と視線を合わせ、「信じてくれ」と訴えかけた。
 そんな中、肩を竦めたカルトンさんも呆れた声を上げ、侍女は護衛騎士を叱咤する。
 騒がしくなった室内を気にする様子もなく、殿下は私に優しい言葉を投げかけてくれた。

「俺は、シエルの味方だ。君が心の底から、強く願うのであれば――それを拒否する権利などない」

 ――本当に、いいのだろうか?

 そう困惑していれば、私の指先と絡めていた手に込められた力が強まった。
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