転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 彼はその宣言のあと、指先を重ね合わせる。

「必ず君を、守ってみせる」

 その後、深い海も瞳に確かな決意を宿らせた。

 左手が塞がっている状態で、本当に私を守れるのかな……?

 そんな疑問をいだきながらも、声に出すことはない。
 何かあればすぐに手を離し、ディルクさんの背中に隠れようと思った。

「ディルクさんは王族なのに……。いつも、徒歩で移動されていますよね……?」
「王族専用馬車は、かなり目立つ。襲われでもしたら、逃げ場がない。カルトンは接近戦こそ得意だが、遠距離戦となれば……」
「何言ってんだよ。オレレベルになれば、飛んでくる矢なら簡単に防げるぜ?」
「見通しのいい場所であれば問題ない。だが、狭い馬車の中は、まず無理だ。神殿の奴らは、数で囲むタイプだからな。そういう攻撃の仕方は、してこないだろうが……」

 私は男性陣の口から物騒な言葉がポンポンと飛び出てくることに驚きを隠せないでいると、ディルクさんは繋いだ指先に力を込めて引っ張る。
 そうして抱き寄せられて婚約者から耳元で囁かれたのは、聞いているだけでも甘くとろけてそうな言葉だった。
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