転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「なぁ、あれって……」
「殿下と、ゼヅロム卿……?」
「隣のご令嬢は、誰かしら……?」
「まさか。こんなところに神獣がいるなんて……」
「なんて神々しいの……」

 彼らはユニコーンの姿に目を奪われ、うっとりとした表情であの子を見つめる。
 その視線に気をよくした神獣は、私の身体へ擦り寄ってきた。

「ユニッ」
「待って、歩きづらいわ……」

 グイグイと左手で引き剥がそうとするけど、あの子はびくともしない。
 私は仕方なく、この子の好きにしてあげようと決めた。

「もしかして、あれって……」
「神獣を連れて逃げ出した、聖女?」
「重罪人じゃないか!」

 すると――私たちの様子を目にしていた通行人が、慌ただしくどこかへ走り去って行った。

 きっと、神殿にお尋ね者が現れたと報告をしに行ったのだろう。

 こんな騒ぎになって、本当に大丈夫なのかな……?

 不安になってしまい、彼の腕に纏わりつく力を強める。
 するとディルクさんは、私を安心させるように優しく髪を手櫛で梳いてくれた。

「殿下!」

 ――その直後、前方からディルクさんを呼ぶ男性の声が聞こえてきた。
 彼らはその場で立ち止まり、一糸乱れぬ敬礼をする。
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