転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「金貨、5枚くらいでしょうか……?」
「そんな端金で、売買するとは……」

 男性は呆れて物が言えない様子で、項垂れてしまった。
 どうやら、私の金銭感覚はこの世界では通用しないらしい。
 日本では、素人の絵を1枚5000円で買ってくれる人はそう多くなかった。
 その感覚が抜けていないからか。
 安すぎると言われるほうが、どうかしているとしか思えなかった。
 私は自分の意見が間違っていないと証明するため、言葉を重ねた。

「し、素人の描いた絵ですから……。しっかりとした画材を使って描かれたものではありませんし、本来であれば、値段がつかないもので……」
「謙遜しないでくれ。この絵画は、とても高価な値がつく」
「では、どの程度が適正価格だと思いますか……?」

 彼は長い間思案したあと、真っ直ぐ私の目を見ながらはっきりと宣言した。

「紙幣50枚」

 日本での1万円が、この世界にとっては紙幣1枚に相当する。
 つまり、私が一心不乱に描いた絵は50万円の価値があると言われたことになる。
 信じられない気持ちでいっぱいになりながら、私は素直な気持ちを吐露した。
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