転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「紙幣5枚だって、あり得ないのに……」
「この独特の配色センスは、なかなか出せない。君は絵の才能があるようだ」
「そんな…」
「絵を描き始めて、何年になるか聞いても?」

 前世での経験を含めてもいいなら10年程度だが、シエルとしては初めて描いた。
 回答しづらい質問にどう返答をすればいいかと頭を悩ませていれば、彼は無理に聞き出すべきではないと悟ったようだ。
 呆れた様子で肩を竦めると、再度疑問を口にする。

「ほかの絵を、売買したことは?」
「これが、初めてです。この子と一緒に生きていくためには、お金が必要で……」
「ユニコ!」

 ユニコーンに視線を向ければ、あの子は元気な鳴き声を上げた。
 その様子をじっと見つめて深く考え込んでいた彼は、小さく頷くとこちらに手を差し伸べる。

「わかった。訳ありなら、仕方がない。俺が君の面倒を見よう」
「よろしいのですか? 私はあなたの許可なく不法侵入をして、勝手に画布を使った重罪人ですが……」
「このまま追い出して罰を受けさせたところで、こちらの夢見が悪くなるだけだ。それは、できれば避けたい」
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