転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「神獣を奪い、神殿から逃げ出した。その罪は重いぞ……!」
私に罪を償えと迫った男性は、かつて己に命を絶てと迫った司祭だった。
婚約者は目にも止まらぬ速さで私の手首を掴んで自身の鍛え抜かれた逞しい背中へ押しやると、私をあの人から見えないように覆い隠してくれる。
迷惑をかけてはいけないって、わかっている。
今すぐ逃げ出したい気持ちで、いっぱいだった。
でも――ディルクさんが私を守ると、心の底から誓ってくれたから。
その言葉を信じて、私は彼の背中に縋りついた。
「俺の婚約者に、自ら命を絶つよう命じたようだな」
「なんの話だか、さっぱりわかりません。殿下と聖女シエルの婚約は、すでに破棄されたはず。あなたは、彼女が罪を犯した時点で――聖女ノエルとの結婚を義務づけられました」
「誰を娶るかは、俺が決める」
「何を仰っているのですか? 神殿の意思に逆らえると、本気でお思いなのですか!?」
妹の名前を耳にした私は、彼の背中を強く握りしめて叫びだしたい気持ちを心の奥底に押し込める。
つらくて苦しい出来事は、まだ始まったばかり。
けれど――あの子がディルクさんに言い寄っているのは司祭が命じたからだとわかっただけでも、大収穫だ。
私に罪を償えと迫った男性は、かつて己に命を絶てと迫った司祭だった。
婚約者は目にも止まらぬ速さで私の手首を掴んで自身の鍛え抜かれた逞しい背中へ押しやると、私をあの人から見えないように覆い隠してくれる。
迷惑をかけてはいけないって、わかっている。
今すぐ逃げ出したい気持ちで、いっぱいだった。
でも――ディルクさんが私を守ると、心の底から誓ってくれたから。
その言葉を信じて、私は彼の背中に縋りついた。
「俺の婚約者に、自ら命を絶つよう命じたようだな」
「なんの話だか、さっぱりわかりません。殿下と聖女シエルの婚約は、すでに破棄されたはず。あなたは、彼女が罪を犯した時点で――聖女ノエルとの結婚を義務づけられました」
「誰を娶るかは、俺が決める」
「何を仰っているのですか? 神殿の意思に逆らえると、本気でお思いなのですか!?」
妹の名前を耳にした私は、彼の背中を強く握りしめて叫びだしたい気持ちを心の奥底に押し込める。
つらくて苦しい出来事は、まだ始まったばかり。
けれど――あの子がディルクさんに言い寄っているのは司祭が命じたからだとわかっただけでも、大収穫だ。