転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 相手が私やカルトンさんだけであれば、言いがかりだと大騒ぎしていたかもしれない。
 しかし、王弟に断言されたら、誤解だと大騒ぎするわけにはいかなかったのだろう。
 すべてが露呈した際に罪が重くなることを恐れた司祭は、真っ青な顔でガクガクと全身を震わせた。

「これからじっくり、四者面談と行こう」
「ひ……っ」

 引き攣った悲鳴を上げた聖職者は、こちらが気の毒になるほどに怯えた。

「先程までの威勢は、どこに行ったのか……」
「で、殿下がいらっしゃるなど……思わなくて、ですね……」
「口程にもないな」

 男はディルクさんの背中からそろりと顔を覗かせて成り行きを見守る私を見つけ、恨みがましく睨みつけてくる。
 ばっちりと目が合ってしまい、慌てて視線を逸らす。
 すると、殿下が安心させるように私の背中に触れた。

 ――彼の大きくてひんやりとした指先が優しくそこを撫でつけるたびに、段々と冷静になってきた。

 ここには、信頼のおけるディルクさんがいる。
 だから、大丈夫だ。
 最悪の結末など起きるはずがない――。

 私は何度も自分に言い聞かせ、必要以上に怖がらなくていいと己を奮い立たせた。
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