転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 婚約者とユニコーンが、ガタガタと全身を震わせながら固まっている自分を心配している。
 早く。大丈夫だよって、口元を綻ばせなくちゃいけなかったのに……。
 焦るほど身体が硬直してしまい、うまく動けなくて……。

「心配はいらない」

 どうすればいいのだろうかと、パニックに陥った時のことだ。
 騎士たちと話を終えたディルクさんが、私と繋いだ指先を離して抱き上げたのは――。

「わ……っ」

 突如感じた浮遊感に驚いて思わず声にならない悲鳴を上げれば、ディルクさんが当然のように自分を城の中へ連れ込んだ。

「ディ……ッ。ディルクさん! 重い、ですから……!」

 私は必死に、下ろしてほしいと告げた。
 しかし、彼にはこちらの声など聞こえていないみたい。
 当然のように門番さんの横を通りすぎると、カルトンさんのあとに続く。

 ――よかった……。
 私とユニコーンだけ「入れません」と門番さんたちから、断られることがなくて……。

 トラブルに見舞われたものの、不届き者として捕らえられずにほっとしたからだろうか。
 それとも彼に抱き上げられて、暖かなぬくもりを感じるせいか。
 なんだか、眠くなってきてしまった。
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