転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「落ち着いて……」

 一角獣の落ち着きを取り戻すべく、優しく諭しながらユニコーンの頭を膝の上に乗せた。

「ユーニィ……ッ」

 責任感の強いこの子は私を傷つける悪い奴がいる場所で、気を抜いてはいけないと躍起になっていたみたい。
 でも……。
 身体を撫でつけていれば、段々落ち着いて来たのだろう。
 やがて、規則正しい寝息が聞こえてきた。

 ――これで、しばらくは大丈夫。
 落ち着いて話ができそうだと、成り行きを見守る。

「司祭。まずは、貴様の言い分を主張を聞いてやる」
「殿下のご厚意に、感謝いたします……!」

 ディルクさんの許可を得た司祭は、先程までの青ざめた表情はどこへやら。
 瞳を爛々と輝かせて、声高らかに宣言した。

「殿下に相応しいのは、罪を犯した聖女シエルではありません! 大聖女と呼び声高い、彼女の妹。聖女ノエルです!」

 顔を見なくても、声音だけでわかる。
 聖職者が本気で、ディルクさんに相応しい伴侶が妹だと思っていることくらい。
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