転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
拳を握りしめて必死に耐えようにも、この子を撫でる手を止めたらきっと……。
様子がおかしい私の姿を目にしたユニコーンが、怒り狂ってしまうから。
どうにか唇を噛み締め、逃げ出したい気持ちを押し留めるつもりだった。
しかし――。
「大聖女に相応しい人間は、シエルだけだ」
ディルクさんが私の唇を愛おしそうに指先でなぞり、司祭の言葉を真っ向から否定してくれた。
それが何よりも嬉しくて、自然と緊張の糸が解れる。
このまま、穏やかに話し合いを終えられたらいいのだけれど……。
残念ながら、私の願い通りに物事は進んでくれなかった。
「大聖女と謳われるに相応しい聖女は清らかな心を持った、穢れを知らぬ乙女です! 聖なる力を持たぬ無能が、その名声を欲しいままにするなどありえません!」
「俺の婚約者を、無能呼ばわりするな……!」
「ユニッ!?」
司祭の怒声を耳にしたユニコーンが、膝の上から飛び起きてしまったからだ。
神獣は私の唇をディルクさんの指先がなぞっていることに気づき、オロオロと視線をさまよわせて言い争う2人を何度も交互に見つめる。
どちらを攻撃するべきか、迷っているみたい。
「あんたの主張は、それだけか?」
様子がおかしい私の姿を目にしたユニコーンが、怒り狂ってしまうから。
どうにか唇を噛み締め、逃げ出したい気持ちを押し留めるつもりだった。
しかし――。
「大聖女に相応しい人間は、シエルだけだ」
ディルクさんが私の唇を愛おしそうに指先でなぞり、司祭の言葉を真っ向から否定してくれた。
それが何よりも嬉しくて、自然と緊張の糸が解れる。
このまま、穏やかに話し合いを終えられたらいいのだけれど……。
残念ながら、私の願い通りに物事は進んでくれなかった。
「大聖女と謳われるに相応しい聖女は清らかな心を持った、穢れを知らぬ乙女です! 聖なる力を持たぬ無能が、その名声を欲しいままにするなどありえません!」
「俺の婚約者を、無能呼ばわりするな……!」
「ユニッ!?」
司祭の怒声を耳にしたユニコーンが、膝の上から飛び起きてしまったからだ。
神獣は私の唇をディルクさんの指先がなぞっていることに気づき、オロオロと視線をさまよわせて言い争う2人を何度も交互に見つめる。
どちらを攻撃するべきか、迷っているみたい。
「あんたの主張は、それだけか?」