転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「すまなかった。君を守ると言いながら……。恐ろしいものを、見せてしまって……」
「ち、違うの……。私も、そこまで配慮してほしいとは……」
「あの男の悪行が明らかになったのは、シエルのおかげだ」
「で、も……」
「これからのことは、心配するな。もう、俺たちを引き裂く障害はない」
「私、は……」
「シエルは罪人などではない。神殿の悪行を暴いた、大聖女だ」

 私は何もしていない。
 ただ苦しくて、悲しかった気持ちを胸にいだき、絵を描いただけなのに。
 ディルクさんは私を褒めると、頭を撫でてくれた。

 ――彼の配慮がありがたい。
 そう思うと同時に、触れ合った場所から伝わる熱によって罪悪感すらもどこかへと消えていくような気がして恐ろしかった。

 この気持ちは私が永遠に背負っていくべき、罪だと思っていたから……。

「カルトン。あとのことは、任せる」
「おう。ここは任された。嬢ちゃんが安らげる場所へ、案内してやれ」
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