転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「殿下が抱きかかえているのは、誰だ……?」
「上機嫌な神獣と一緒なんて……」
「不気味だわ……」

 その様子を目にした街の人々が、怪訝な表情でこちらを見つめていたような気がする。
 けれど――自分自身に向けられる興味本位な視線を受け止める余裕が、今の私には存在しなかった。

 もう、疲れた。
 何も見たくないし、聞きたくない。

 私がいるから。私のせいで。
 たとえあの人がどんなに悪行を働いていたとしても――傷つけたのは、事実だから……。
 私は罪を償わなくてはいけない。
 そう思うだけでも苦しくて、悲しくて。
 瞳からは、己の不甲斐なさを嘆く涙がこぼれ落ちた。

「泣かないでくれ」

 ――ディルクさんに抱きかかえられて王城をあとにし、どれくらいの時間が経ったのだろう。

 いつの間にか別荘に戻った私をソファーに座らせ、彼は床の上に膝をついていた。
 ディルクさんは私の目元に溜まった涙を、優しく指先で拭い取ってくれる。
 彼の瞳は、今にも泣き出してしまいそうなほどに潤んでいた。
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