転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 ディルクさんの言葉を耳にしたユニコーンは、「1人と1匹の間違いだ」と訂正するように怒る。
 当然のように彼の後ろから着いてきていた神獣は、殿下が私を下ろすよりも早く、己の存在を主張するように寝台へ転がった。

「もう……。ユニコーンったら……」

 そんな神獣へ呆れたような視線を向ける姿すらも気に食わないのか。
 ディルクさんは私を寝台に横たえたあと、隣に身体を投げ出す。

「今日はシエルと一緒に、眠りたい」

  ディルクさんから思わぬ提案を受けた私は、どうしようか迷って胸元の神獣に視線を落とす。
 この子が嫌がるなら、断ろうと思ったのだ。

「君を、離したくない。このままずっと抱きしめ、幸せな気持ちに浸っていたいと願うのは……我儘だろうか」
「ユニ……」

 でも、ユニコーンは眠気が勝ったのだろう。
 それか、相手が殿下だから文句を言う必要はないと考えたのか。
 意見を聞く前にさっさと寝入ってしまう。

「ど、どうぞ……」
「ありがとう」

 あの子が嫌がる様子を見せないなら、問題ないはずだ。
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