転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 私たちはまだ、婚約者同士。
 こうして一つの寝台で身を寄せるのはよくない。

 だけど──白い結婚をすると約束した仲だ。

 だから、大人の関係になるなんて絶対にありえない。
 互いがその気にさえならなければきっと大丈夫だ。
 私はディルクさんのことを信じている。

 しかし……。
 心の中ではそう思っていても、全身に力が籠もるのを止められなかった。

「そんなに緊張するな。俺は君が、嫌がることはしない」
「そう、ですよね……」

 何故だか顔が熱っぽくて、ドキドキと心臓の鼓動が高鳴るのを止められない。
 まるで魔法にかけられたように──私の心は、不思議な感情で満たされていた。

「俺の言葉が信じられないのなら、共に眠るのは……」
「ま、待って……!」

 彼が遠慮する素振りを見せていると気づき、慌てて裾を掴んで止めた。
 何度も唇を動かして声に出そうと思っても、うまく言葉が出てこなくて――。
 私が落ち着いて話せるようになったのは、随分とあとになってからだった。
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