転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「むしろ、その。このまま……。そばに、いてほしいです……」
「わかった」

 必死に訴えかければ、彼はこの場に留まってくれた。
 その姿を目にしてほっと胸を撫で下ろしながら、素直な気持ちをディルクさんに吐露する。

「初めて、だから……。緊張、してしまって……」
「俺も異性との添い寝は、初体験だ」
「ディルク、さんも……?」

 彼はとても目麗しい容姿をしている男性だ。
 当然男女交際の経験くらいはあるだろうと考え、問いかけてしまったけれど。
 よくよく考えてみれば、彼は公爵家を背負う男性だ。
 誠実で実直なディルクさんが、そんなことをするはずがなかった。

「婚前前に男女が閨を共にするなど、ありえない」
「じゃあ、この状況は……。凄く、非常識なのでしょうか……?」
「いや。それはあくまで、一般論だ。俺は、この状況を好ましいと思っている」
「どうして……?」
「信頼の証だからな」
「なるほど……」
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