転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 ディルクさんは完成した絵を目にして、優しく口元を綻ばせる。
 それを聞いて、ほっと胸を撫で下ろす。

 ――私はまだ、絵を描いてもいいんだ。

 そう思ったら、もっと筆を動かすのが好きになった。

「気分はどうだ?」
「とっても、楽しいです!」
「よかった。俺が参加することで、君の絵を穢してしまうのではないかと不安だったのだが……」
「ディルクさんは私にとって、絵の師匠のようなお方です。そんなこと、絶対にありません!」

 不安がるディルクさんに心配いらないと断言したあと、気づく。
 いつもとは真逆の立場になっていると。

 たまにはこう言うのも、悪くないよね?

 これも成長の証だと実感しながら、私達は笑い合う。

 私が描いた絵を見た人にも、知ってもらいたい。
 絵を描くのは、楽しいんだって。
 私はディルクさんに愛してもらえて、とっても幸せだって。
 
 そう思いながら完成させた絵画は、なんだかキラキラと光り輝いているように見えた。
 無機質な絵が発光するなんて――そんなわけ、ないのにね。

「まるで、憑物が落ちたようだな」
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