転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
周りに人がいる状態で描くのは、苦手だ。
リアルタイムで批判など受けようものなら立ち直れない。
ディルクさんは私の絵を褒めてくださることはあっても、貶すことはしなかった。
技術面のアドバイスはありがたいし、彼の前であればどうにか平常心を装って作業ができるようになったが――。
完成した絵を見れば、1人で誰にも邪魔されない環境で描いた時よりも完成度が劣るのは誰が見ても明らかだった。
「俺は君が絵を書き終わるまで、しばらくここへやってくるのは控えよう」
「よろしいのですか……?」
「ああ。君には肩の力を抜いて、納得のいく絵を描いてほしい」
「ありがとう、ございます……」
この配慮は、とても嬉しかった。
誰の目も気にすることなく絵を描ける環境が簡単に手に入るものではないと、前世の記憶を持つ私はよく知っていたから…。
「シエルは一度集中すると、飲まず食わずで作業に没頭してしまうからな……。何かあったら、すぐに知らせてくれ」
「ニコッ」
ユニコーンは「僕に任せて!」と元気よく鳴き声を上げた。
出会った当初はディルクさんに威嚇していたけれど、今ではすっかり敵意を見せることなく、彼に懐いている。
一角獣は聖女にしか、心を許さないはずなのに……。
なぜなのかと不思議に思いながら、彼を見送る。
リアルタイムで批判など受けようものなら立ち直れない。
ディルクさんは私の絵を褒めてくださることはあっても、貶すことはしなかった。
技術面のアドバイスはありがたいし、彼の前であればどうにか平常心を装って作業ができるようになったが――。
完成した絵を見れば、1人で誰にも邪魔されない環境で描いた時よりも完成度が劣るのは誰が見ても明らかだった。
「俺は君が絵を書き終わるまで、しばらくここへやってくるのは控えよう」
「よろしいのですか……?」
「ああ。君には肩の力を抜いて、納得のいく絵を描いてほしい」
「ありがとう、ございます……」
この配慮は、とても嬉しかった。
誰の目も気にすることなく絵を描ける環境が簡単に手に入るものではないと、前世の記憶を持つ私はよく知っていたから…。
「シエルは一度集中すると、飲まず食わずで作業に没頭してしまうからな……。何かあったら、すぐに知らせてくれ」
「ニコッ」
ユニコーンは「僕に任せて!」と元気よく鳴き声を上げた。
出会った当初はディルクさんに威嚇していたけれど、今ではすっかり敵意を見せることなく、彼に懐いている。
一角獣は聖女にしか、心を許さないはずなのに……。
なぜなのかと不思議に思いながら、彼を見送る。