転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した

何度奪っても、足りない(ノエル)

「乃絵留はお姫様みたいにかわいいね」
「さすがは私たちの娘!」

 プリンセスラインのピンクを基調としたドレスに、頭部には金色のティアラをつけたあたしを、両親は褒め称える。
 それに気分をよくして満面の笑みを浮かべる自分を見ようともせず、暗い顔で俯くあの女が大嫌いだった。

 彼女の名は、佐部志江留。
 あたしよりも5年早く生まれた姉だ。

「今日は乃絵留の誕生日だぞ。おめでとうくらい、言ったらどうだ」
「そうよ。せっかくの祝い事なのに、料理が冷めてしまうわ」

 両親はこの場に不釣り合いな志江留に厳しい言葉を投げかける。
 それが愉快で仕方がない。

 もっと苦しんで、もっと悲しめ。
 この女さえいなくなれば、両親からの愛を独り占めできる──。

「妹の誕生を祝わないお姉ちゃんには、ご飯を食べる資格なんかないわよね!」

 誕生日パーティで辛気臭い顔をし続ける姉に苛立った私は、満面の笑みを浮かべて彼女に告げる。
 志江留は瞳を見開き、唇を震わせているのが印象的だった。

 ──ほんと、ブサイクな顔……。
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