転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 家族の誰とも似ていない、なんの印象にも残らない幽霊みたいな女。
 それがあたしの姉だ。
 大人しくて自分の意見すら言えやしない。
 そんな奴に1日3食の食事すら取る権利があるとは思えなかった。
 人間として扱ってほしいのなら、あたしの太鼓持ちになればいいだけの話よ。
 それを拒んだ時点で、こいつが最下層の扱いを受けるのは当然でしょ?

「ええ。乃絵留の言う通りよ」
「こうして住む場所を与えられているだけで、私たちに感謝するべきだ」
「そんな……!」

 両親があたしの意見に同意をした直後、志江留は悲痛な叫び声を上げた。

 ──ほんと、いい気味。

 満面の笑みを浮かべて「おめでとう」とさえ言ってくれたら、それだけで構わなかったのに──。
 その手間すらも惜しむのであれば、あたしの言いなりになりますと泣いて懇願するまで、永遠の苦しみを味わわせてあげるわ。
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