転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
それはあたしが高校1年生、姉が3年生の時だった。
あたしがどれほどいびってやっても、姉は暗い顔をしたり泣くのを堪える程度で、しぶとく生きている。
なんでそういうところは、頑丈なのよ!?
さっさと負けを認めて、屈服しなさいよ。
そう何度も面と向かって口にしたところで、あの女は命を絶つ様子がない。
一体何故なのか、ずっと不思議だった。
だけど――あたしはようやく、姉が心の支えにしているものがあると気づいた。
「凄いじゃない! この絵をコンクールに出したら、きっと金賞間違いなしよ!」
偶然、美術講師と志江留が話をしている会話を耳にしたからだ。
あの女はどうやら、家族の知らないところで暇つぶしをかねて油絵の勉強をしていたようだ。
──いいことを聞いちゃった。
あたしは口元を綻ばせ、早速実行に移す。
姉の絵を自分が描いたと偽り、コンクールに応募したのだ。
すると、見事に金賞を受賞してしまった。
「凄いじゃない!」
「おめでとう、乃絵留!」
両親からの賞賛なんかよりも、大嫌いな志江留の絶望顔を目にできたことのほうが、よほど気分がよかった。