転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
9・妹には何も奪わせない
 個展準備は思っていた以上に大変だった。
 けれど実際に会場へ向かって絵の配置を決めたり、新しい絵を書き下ろしたりしていれば――あっという間に時間は過ぎていく。
 佐部志江留と決別してシエル・べサリオとして生きると決めてから。
 充実した毎日を送れているような気がする。
 明るく前向きに物事を考えられるようになったのも――。
 すべて私を支えてくれる、心優しい人たちのお陰だ。

「シエル様。いよいよですね」

 身支度を整えてくれたリルマさんに話しかけられ、しっかりと頷く。
 その後、己の姿を確認してぼやいた。

「こんな豪華な洋服を身に纏って、外へ出るなんて……。本当に、大丈夫なんでしょうか……」
「シエル様は、大聖女と呼び声高き素晴らしい聖なる力をお持ちなのです。もっと、堂々としてください」
「でも……」
「大聖女と王弟が並び立つ姿は、人々の視線を釘づけにするでしょうね」

 私はこれから目の前で起こり得る光景を伝えられ、慌てる。
 どうしよう。
 注目されるのは、苦手なのに……。

 あわあわと視線をさ迷わせていると、外から扉を叩くノックの音が聞こえてきた。

「どうぞ……」
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