転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「その、ディルクさん……。さっき、時間がないって……」
「本当に、神々しい。とても、可憐だ」
「あ、ありがとう……ございます……」

 頬を紅潮させながらひとまずお礼を告げると、彼は首筋から顔を上げた。
 その後の熱を帯びたクリーム色の瞳が――私を見下していることに気づく。
 それに私が戸惑う姿を遠くから目にした神獣が、ディルクさんの元へと忍び寄る。

「ユーニィー!」

 ユニコーンは「シエルはいつだってかわいい」と言わんばかりに、鳴き声を上げた。
 まさかこの子からも褒められるなど思わなくて、なんだか照れくさくて仕方がない。
 私は幸せな気持ちでいっぱいに包まれながら、はにかんだ。

「おーい。殿下ー。いつまでいちゃついてんだー。時間、迫ってんぞー」
「俺の邪魔をするとは、いい度胸だな。ユニコーンに蹴られてしまえ」
「ユニッ!」

 カルトンさんに声をかけられたディルクさんが、恨みがましい声で神獣の名を出したからか。
 どうやらユニコーンは、己の対する命令と受け取ったようだ。
 「任せて!」と言わんばかりに鳴いたあの子は、勢いよく護衛騎士に向かって突進していく。
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