転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「ユーニィ!」

 それが誰かは、振り返らなくてもわかる。
 ディルクさんとユニコーンは同時にそちらへ視線を向けると、臨戦態勢に入った。

「なんだ?」
「シエルって……。大聖女様のお名前……?」
「ねぇ、見て! 神獣と一緒にいらっしゃるあの方は……!」
「本物の、聖女様だ……。なんて神々しいの……?」

 彼女の声を耳にした観覧客たちの視線が、一斉にこちらへ向けられる。
 それが好意的なものだと、わかっているけれど……。
 かつての私を不出来と罵る、悪意を持った人々を思い出してしまう。
 その結果、顔面蒼白な顔で固まるしかない。

「言いがかりをつけないでくれないか」
「何それ? あたしが悪いって言うの!?」

 ディルクさんの厳しい声を耳にしても、あの子の声は止まらない。
 彼女はわざと騒ぎを大きくして、私に恥をかかせようとしているのだ。

 妹はいつだって数の暴力で、真実を闇に葬って来たから……。
 ノエルはどれほどディルクさんに指摘を受けても、やめるつもりはないのだろう。
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