転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「他人の描いた絵を自分のものだと言い張り、個展を開くなどありえない」
「どうしてあたしを、信じてくれないの!? ありえない状況が今、目の前で起きているのに!」
「君の虚言癖と妄想癖には、付き合いきれん」
「酷い……!」

 その証拠にあの子は、涙声で被害者ぶる。
 そんな光景を冷たい瞳で見下したディルクさんは、何も言えない私の代わりにノエルと対峙した。
 出入り口を塞ぐように彼女が立っているせいか。
 騒ぎを目にして気分を悪くした人々は、外に出られないからだろう。
 なんだか、居心地が悪そうな素振りを見せている。

 ――いくら信頼のおける婚約者だとしても、彼だけになど任せてはいられない。
 私がしっかりと、あの子に言い聞かせなきゃ。

 今世ではほとんど関わりはなかったけど、私はあの子よりも先に生まれた姉。
 血を分けた、姉妹なのだから……。

「この絵は彼女が描いたものだ。俺と殿下が、証人になる」
「そんなの、なんの証明にもならないわ! みんながグルになって、嘘をついているかもしれないでしょ!」
「ならばこの場で、同時に絵を完成させればいい。本物であれば、聖なる力が宿るはずだ」
「な……っ」
< 212 / 249 >

この作品をシェア

pagetop